誕生日を迎えて思うこと「モンキー・バナナ」

2月12日は66回目の誕生日でした。多くのお友だちの皆様、メッセージありがとうございました。厚生労働省が2024年12月24日に発表した健康寿命は、男性72.57歳、女性75.45歳だそうです(調査は3年に1回で今回は2022年調査)。従って、私の場合はあと6年半しかありません。短い! 健康寿命とは、世界保健機関(WHO)が2000年に提唱したもので、健康上の問題で日常生活が制限されない期間で、平均寿命から介護が必要な期間や寝たきりの期間を差し引いた期間です。ちなみに、66歳まで生きた日本人男性の平均余命は18.73年(令和5年簡易生命表より)。足すと84.73歳です
何はともあれ、怪我せず病気せず、あと10年はやりたいことを思う存分全うしたいと思います。その後があるかどうかは天のみぞ知る。※去年も同じことを書いたなあ(*^^*)。まずは、左腰と右肩が痛いのをなんとか治したいです。
誕生日を迎えて思ったのは、最近のAI(人工知能)ブーム。今回は、どうもブームでは終わらなさそう。実は私、40年以上前のことですが、九州大学で最初にできた、AIの研究室の第1期生でした。第二次AIブーム(1980~1990年代)と呼ばれたころです。九大卒で電子技術総合研究所(現、産業技術総合研究所)に行かれて大学に戻ってきて教鞭をとられた長田正教授(2025年で93歳)に指導を受けました。2005年に「ロボットは人間になれるか」という本をPHP研究所から上梓されています。
私の卒論は、「機械部品の特徴抽出」でして、何かというと、カメラで撮影した画像を処理してそれが何であるかを認識するという研究でした。ロボットの目ですね。部品の正しい画像(モデル)と比較して、差異があるものは異常(不良品)と判断する、いわゆるパターン認識というものです。同様の技術は、その後、製造ラインで不良品を見つけて取り除く作業に使われています。しかし、この時は、計算するのに相当の時間がかかりました。たいして長くもないプログラムでしたが、当時、Fortran(フォートラン)という言語でプログラミングしたプログラムを大型計算機センターで処理して結果がでてくるまでに数日かかる状況。今ならパソコンで数秒以内、いや瞬時に終わると思われます。
この研究室で長田教授から最初に教わったのが、AIの古典的な考え方である「モンキー・バナナ」でした。部屋の中に猿が居て、天井の真ん中にバナナが吊り下がっています。猿は食べたいと思ってジャンプしますが届きません。すると、部屋の隅に椅子が置いてあるではありませんか。猿は最初は椅子に乗って遊んでいるうちに動かせることを学習します。そして動かしたり倒したり乗ったりして遊んでいるうちにハッと気づくのです。部屋の真ん中に移動させてそれに乗ればバナナに手が届くと。皆さんは、もちろん容易に推測できたと思います。
実はここで重要なことは、「学習」と「推論」です。いくら学習しても「推論」する力がなければ、バナナを食べられません。コンピュータでは、椅子を部屋の中の様々な場所に少しずつ動かして、椅子に乗ったら届くパターンを計算して、この場所に動かして乗って手を伸ばせば届くということを導き出すでしょう。この「推論」こそ重要だと思っています。以前勤めていた職場で、学ぶのが好きな部員が居ました。ある仕事を頼んだら、本を買ったり研修に行ったりしてどんどん学ぶのですが(会社の経費でこのセミナー受けてもいいですか?とも聞いてきましたが)、その仕事の課題は何でどうやって解決したらよいかということがなかなか導き出せないのです。推論する力が・・・。
どんな社会になったとしても、「学習」は必要ですが、「推論」こそ大事なのではないかと。自分、そして周りの方々を見ていても、学習するのが得意な人と推論するのが得意な人と、タイプが分かれている気がします。入力がないと出力もないと思うのですが、こらからの自分は、学ぶとともに、推論する力を失わず、もっと意識して生活していきたいと思います。
(文責=HORI PARTNERS代表 堀 純一郎)