10年単位では平均株価は上昇!未来は?
●毎年、年末に東急リバブルが不動産市況レポートを作成しています。賃貸住宅の管理でお世話になっている関係で毎年送ってくれるレポート。そこから見えることを私なりに解釈してみました。東急リバブルは不動産取引会社であるため、不動産価格に注目して分析していますが、株価に着目すると、「10年単位で見れば平均株価は上昇する」ということが見えてきます。

●特定銘柄の短期売買で一喜一憂するのではなく、複数の金融商品による長期分散投資にこそ成長可能性があるのではないか。それこそ、世界最大の機関投資家で日本の年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の長期分散投資がそのお手本のように見えます。
バブル期とは、1986年末から1991年初頭頃までの日本で起こった、株や土地などの資産価格が実体経済とかけ離れて異常に高騰した好景気の時代。その後、金融引き締めなどをきっかけに資産価格が急落し、それに伴って景気が急速に悪化しバブルが崩壊。特に1990年代初頭の日本で発生し、資産価格の暴落、不良債権の増加、金融機関の破綻、そして「失われた10年」と呼ばれる長期的な経済低迷期へと突き進みました。
2008年9月のリーマンショックでさらに景気は悪化。全国の土地公示価格(住宅の場合)は、2008年に1㎡あたり12万6900円でしたが、2014年には10万1700円まで下落しました。しかし、その後は徐々に上昇し、2025年には1㎡あたり13万7100円まで上昇しました(3万5400円上昇)。
背景には、アベノミクスも後押しし、金融緩和による潤沢な資金供給、東京一極集中による需要増、大規模再開発、そして2020年代以降のコロナ禍での「巣ごもり需要」やインバウンド需要、半導体工場立地などで、バブル期とは異なり、実需(需要)と供給のバランス、そして都市機能の集積が背景にあるといわれています。
一方、株価に目を向けると、土地と同様に上昇しました。2011年の東日本大震災後、2012年には8560円まで下落した日経平均株価は2025年には5万円を超えました。大納会の日経平均株価は5万0339円で、年間で1万円超上昇しました。
デフレ脱却への期待、グローバル投資家の資金シフト(脱中国)、企業改革(コーポレートガバナンス改革)、円安、そして大規模な金融緩和が重なったためで、特に海外投資家による日本株への大量の買いが大きな要因といわれています。
東急リバブルが作成したグラフでは2004年に1万825円だった日経平均株価は、2025年には約5倍になった計算です。バブル崩壊やリーマンショックによる下落はありましたが、10年単位で見れば、日本経済は株価の上では上昇していると言ってよいでしょう。
長期分散投資こそリスクヘッジ
株価に焦点を当てた場合、個別企業に注目して短期売買を繰り返して利益を得る方法もあるでしょう。しかし、その手法はリスクが高いとも言えます。参考になる投資手法は、世界最大の機関投資家で日本の年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の長期分散投資ではないかと思っています。


これは、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式の4資産に25%ずつ投資し、10年間以上の長期で運用する投資手法です(参考:https://www.gpif.go.jp/gpif/long-term-investment.html)。1年間の運用成績をみると、100万円の投資元本を割り込んでしまった年が出てきますが、10年間の運用成績をみると、100万円の投資元本を割り込んだことはないと説明しています。もっとも、乖離許容幅を設けて運用しています。上記の表は2025年度からの第5期中期目標(5カ年計画)に向けた基本ポートフォリオです。
こうした考え方で年金を運用してきた結果が下記のグラフです。

株式投資に関しては、企業の株を個別に買う方法もありますが、投資信託に投資するのが安全性が高いのではないかと思います。特に個人の場合は、どの企業の株を買えばよいか判断に迷う方が多いでしょう。投資信託は、多くの投資家から集めたお金をまとめて、運用のプロ(ファンドマネージャーなど)が株式や債券、不動産などに投資・運用し、その成果(利益や損失)を投資家に分配する金融商品です。専門知識がなくても少額から始められ、分散投資でリスクを抑えつつ、プロの運用で資産形成ができるのが特徴です。元本は保証されず損失が生じるリスクもありますが、投資信託の運用会社は競い合って良い商品作りに躍起になっています。
通称「オルカン」と呼ばれている、三菱UFJアセットマネジメントのeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)はNISAを利用している個人投資家から人気を集めています(2025年12月28日時点)。最新ランキングは以下でご確認ください。
オルカンが、文字通り全世界を対象にしているのに対して、米国の500社に特化したS&P500に着目する方も少なくないようです。下記の「S&P500とオルカンとは?初心者向けに徹底解説」では、米国企業の成長性を信じて米国企業に絞るか、全世界に目を向けてリスク分散するか、それとも両方にかけるかといったことが投資の判断基準になると説明しています。
成長する未来は“口の数”が増えてこそ成立する
多くの企業・団体はそれぞれ資産運用で工夫をしていると思いますが、このGPIFによる長期分散投資の手法には学ぶべきところがあると考えます。もしGPIFの運用がうまくいかないことがあるとすれば、日本経済だけでなく世界経済が破綻し成長しなくなった時ではないでしょうか。日本は人口減少が大きな課題となっていますが、世界的には人口爆発が問題になっています。食料、エネルギーを賄えるのかという大きな課題に直面しています。
私が所属していた日経BPでは、未来予測レポートというものを発行しています。このレポートでも説いていますが、「成長する未来は“口の数”が増えてこそ成立する」という概念にこそ解がある気がします。人が増えれば口の数が増え、食べ物が必要になります。人が生活するためにはエネルギーが必要になります。そのため、過去を振り返れば、公害、温暖化、自然破壊、環境破壊など多くの課題も出てくることになりますが、人間は科学技術、政策など人間の知恵でそれらの課題をなんとか乗り越えようとしてきました。
先日(2025年12月27日)、NHKはドラマ「火星の女王」の最終回を放送しました。人類が火星移住を果たしている100年後の未来を描く大型SFエンターテインメント。突如現れた謎の物体をめぐり、火星と地球の人々の欲望と希望が交錯するヒューマンドラマです。放送100年を機に、これまでの歴史を振り返りつつ、これからの100年を模索していく「宇宙・未来プロジェクト」の一環として制作・放送されたものです。

今後、地球の人口爆発が加速し、月や火星をはじめとした地球外の衛星や惑星に住む未来が訪れたとき、地価や株価はどうなっているのでしょうか。「長期分散投資こそリスクヘッジ」と書きましたが、この概念は未来永劫成立するのか。“人間の知恵を駆使すれば、どんな苦難も乗り越えていける”と信じるならば、金融(金銭の流通)は滞ることはなく、経済はますます成長するのではないかと思います。人間のあくなき欲望が続く限り。
(文責=HORI PARTNERS代表 堀 純一郎)